2021.08.26

新しい光文化の創造
~フォーカルストーリー~

LEDだからこそできる光とはなにか。世界に一つしかない3度の光、その裏側に迫りました。

ライトアップの常識を変える 

2014年の冬、東京の夜景を見ていて気がつきました。照明器具の光源はLEDにどんどん変わっているはずなのに、ライトアップ自体はそれほど変わっていないことを。

ライトアップは、それ自体が夜間の広告塔になったり、都市の景観を彩る象徴になったりと、多くの人の心を強く動かすもの。

これまでと違う光で、人々の心を動かさせないだろうか?

周りを見渡してもLED器具は、まだまだ既存光源の置き換え用途が多い。LEDだからできる光はなんだろうか?試行錯誤が始まりました。

極めて狭い光

「誰もつくったことのない光はなんだろう」
私たちが着目したのは超狭角の光でした。

通常のLED器具は、狭くても8度ほど。それよりずっと狭い3度の光をつくれば、これまで不可能だったライトアップができるはず。

3度の光をつくることを目標に設定。

通常LEDの光の制御にはレンズを用いることが一般的ですが、レンズ制御で3度の光はどうしてもできません。オリジナルで反射板をつくる挑戦がそこから始まりました。

試作の山に埋もれる

3度かつ、美しい円形の光の開発は失敗の連続でした。
幅広い視点から仮説をたて、都度反射板を設計。長い筒のような形状、土鍋のような大きな形状、、試作器具の山ばかりができますが、目指している光には程遠い結果。

試作→検証→失敗、試作→検証→失敗、、、のサイクルをまわし続けました。

たどり着いた答えは「反対」。
まず反対方向に光を出し、一度反射板に光を当ててから、跳ね返すというLEDではあまり見られない設計でした。

反射板、極まる

反射板の表面は多面体化。
超狭角だけではなく、同時に光の均質化、輪郭の柔らかさを求めた結果の形状です。LED特有の輪郭の汚い光は反射させず、綺麗なところだけを取り出す。不要な漏れ光を防ぐために、照明では通常使わない望遠鏡の鏡筒に用いる遮光塗料を使用。

そういった数値には表れない部分にも目を配り、「研ぎ澄まされた狭く美しい光」を実現しました。

照らしたいものだけを照らす

ついに完成した超狭角のスポットライト。
フォーカルスポットライトと名付けました。

「フォーカル=焦点の」

まさに、人々の関心の焦点だけを照らす光。
照明の世界では、周囲の環境に最適な光を、欲しい場所だけに当てる「適光適所」という考え方があります。

遠くから照らしたいところだけを綺麗に照らすフォーカルスポットライトは、新たな適光適所を実現することができました。これまでと違うアプローチで、人の心を動かすライトアップの実現。

もっと自由に

3度の美しい光。

その光をライトアップだけではなく、ダクトレール対応のスポットライトに転用することで、もっと自由に使えるようになりました。3度の特長を活かした「その展示品だけを際立てる」という用途への拡張。

他にどこにもないスペシャルな光が、照らされるものの魅力を更に引き上げます。

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